2015年10月撮影
様々なカカオ豆生産国ブース
サロン・デュ・ショコラ・パリの会場1階には、様々な「カカオ豆生産国」のエリアが設定されています。
2階会場の一部も合わせると、今年(2015年)は十数カ国から40社近い出展がありました。
いつも明るくフレンドリーな「メキシコ Mexico」ブース
「オルメカ文明」「マヤ文明」「アステカ文明」とメソアメリカ地域で四千年もの歴史を持つメキシコは、実は「カカオ栽培の故郷」でもあります。
そして、現在も「メタテとマノ」を使うなど昔ながらのカカオドリンクが愛されている国でもあります。
カカオの壮大な「歴史」と「文化」を持つ国メキシコ。
私が「ぜひ訪れてみたい!」と願っている国のひとつです。
「コロンビア Colombia」の合同ブース
その一角にカカオハンターの小方真弓さん
今回、「コロンビア」は多数の業者の合同ブースだったので、小方さんも、幅1メートルほどの狭いスペースで大変そうでした。
でも、次々と訪れるお客様にあふれる笑顔で対応しています。
私が初めて小方さんに会ったのは、まだ小方さんが日本を拠点として活動していた時期でしたが、メールを送るたびに「今アフリカなんです」「今南米です」と世界中を駆け巡っていて、当時からパワフルなスーパーウーマンだなと思っていました。
初めて会った時、「学生時代、レポートを書く時『お菓子「こつ」の科学』をよく参考にしていたんですよ」と言ってくれたのが嬉しかったことを想い出します。
現在は、カカオの宝庫であるコロンビアに移住し、カカオ農園での管理指導から工房でのチョコレート製造まで幅広く手がけています。
小方さんの会社「CAFE CACAO」が製造しているチョコレート
「CACAO HUNTERS」シリーズ
□白:アルアコ ARHUACOS72%
■赤:シエラネバダ SIERRA NEVADA64% ■緑:トゥマコ TUMACO70%
■黃:アラウカ ARAUCA70% ■紫:シエラネバダ SIERRA NEVADA52%
「アルアコARHUACOS 72% 」は、先月ロンドンで発表された「インターナショナルチョコレートアワード」のマイクロバッチ・ダークチョコレート部門で金賞を受賞しています。
小方さんがジャガイモと生肉各3キロを携えてアルアコ族の祈祷師を訪ねるところから始まり、忍耐強く何年もの「心の交流」を経て作り上げた貴重なチョコレートです。
世界の大舞台で認められて、苦難の歴史を歩んできたアルアコ族の皆さんもさぞかし喜ばれたことでしょう。
なお、茶色のパッケージ(赤〜紫の4枚をセットにしたもの)は、コロンビアの大統領が海外に出かける際にお土産として持参される特別なデザインになっているそうです。(コンドルを頂く金色のマークはコロンビアの国章)
大統領御用達にふさわしい威厳を感じますね。
「ペルー Peru」
「ブラジル Brasil」
ペルーやブラジルも、注目の「カカオ・ブランコCacao blanco(ホワイトカカオ)」など次々と上質なカカオ豆を売り出してきています。
そもそも、カカオの樹の植物学的な起源(ルーツ)は、南米の「アマゾン川上流」または「オリノコ川上流」の地域といわれています。
ですので、ベネズエラ、コロンビア、ブラジル、ペルーの山奥や未開のジャングルには、まだまだ素晴らしい「未知のカカオ」がひっそり生息している可能性があるのです。
その未知なるカカオを見つけ出し、カカオ農園である程度の量を生産できる状態にまで持っていくことができれば、世界中のチョコレートファンを熱狂させる「新たなチョコレート」が出現するかもしれませんよ。
実際、中南米各地で様々な品種のカカオ豆が生産され始めています。
「ベネズエラ Venezuela」
ベネズエラのブースでは、毎年美しいカカオの女王が迎えてくれます。
昔から、チュアオChuao、オクマーレOcumare など上質なフレーバー
ビーンズを産出することで有名ですね。
「エクアドル Ecuador」
エクアドルの有名なフレーバービーンズ「アリバ・ナシオナル ARRIBA NATIONAL」は、豊かなフローラル感があって大好きな品種の1つです。
でも、ブースではあまりこの国のカカオ豆をアピールしようという意気込みは感じられませんでした。
世界的にアリバの高評価が安定しているとはいえ、近年風味の劣るCCN51の生産量が急増しています。
アリバ種の多くが、このCCN51に取って代わられてしまうのではないかと業界人の多くが心配しています。
CCN51は病害虫に強い上に生産量が多いため、生産量(収入)を求めるカカオ農家さんがアリバ種をCCN51に植え変えてしまうためです。
「CUNAKaKaw」
「CUNAKaKaw」は、中米マヤ地域にある13のカカオ農園(グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアなど)が集まった団体です。会長
Mollinedo氏のメソアメリカにおけるカカオの歴史に関するセミナーもありました。
「カリブ海諸国」の合同ブース
ドミニカ共和国、ハイチなど注目のカリブ海諸国からも多数の出展がありました。
アフリカ地域諸国
「ガーナ Ghana」
「ガボン Gabon」
「サントメ・プリンシペ São Tomé e Príncipe」
「コートジボワール Côte d'Ivoire」
カカオ豆の生産量では圧倒的な強さを誇るアフリカ地域。
2013/2014年統計では、コートジボワールが世界1位(総生産量の40%)ガーナが2位(同21%)の生産量です。
ちなみに、日本への輸入量が最も多いのはガーナ(総輸入量の74%)ですので、日本人にとって「子供の頃から慣れ親しんだチョコレートの風味」といえばこの地域のものといえるかもしれません。
しかし近年、様々な国から「強い個性を持つカカオ豆」が次々出現し、酸味、苦味、様々なフレーバーなど、それぞれの「個性の違い」をワインのテイスティングのように味わい分けることにチョコレートの醍醐味を感じる人が多くなっています。
この傾向が今後も「bean to bar」の流行に益々拍車をかけていくように思います。
2階のイベントスペース
今年も、カカオ豆生産国(メキシコ、コロンビア、ボリビア、ブラジル、サントメ・プリンシペ、ガーナなど)の民族ダンスやミニコンサートが会場を華やかに彩ってくれました。
来年はどんなカカオ生産国の人たちとお会いできるのか、今から本当に楽しみです。