バレンタイン商戦の新しい潮流2016

 

 

                           2016年2月

チョコレート博覧会(大阪・阪急百貨店)

 

 

今年も、1月下旬から2月14日にかけて、全国で熱い熱いバレンタイン商戦が繰り広げられました。

 

東の雄は、なんといっても「サロン・デュ・ショコラ Salon du Chocolat 東京(新宿NSビル)」でしょう。

今年は、直前に「マツコの知らない世界」で取り上げられたこともあり、連日「入場するまで4時間待ち)」という気の遠くなるような混雑ぶりでした。

 

私も開場と同時に入場するため朝早くから2〜3時間並びましたが、私の愛すべき「チョコレートフレンズ」はその上をいく人たちで、連日始発電車に乗って「早朝6時から4時間待ち」という過酷な日々を軽々とこなしていました。

お昼に来ても待ち時間は同じ「4時間」なのですが、チョコレート愛好家にとって先頭で入場するということは重要なことなのです。

彼女たちのチョコレートにかける情熱と情報収集力には、私も毎年本当に感心させられています。

(チョコレートフレンズとは、年に一度「サロン・デュ・ショコラ」の期間中だけ、全国から新宿に結集して情報交換する私の愛すべきチョコレート愛好家仲間のこと)

 

 

この「サロン・デュ・ショコラ」は、会場に招聘される海外ショコラティエの数も日本一多く、「チョコレートセミナー」や「ビーントゥバーセミナー」などイベントのレベルも非常に高く充実しています。

私にとっては、海外のショコラティエたちに直接質問できる貴重なチャンスでもあり、この会場でどれだけ多くの天才ショコラティエたちに出会い、どれだけ多くのことを学んだか分かりません。

 

 

 

 

一方、西の雄は近年の大躍進がめざましい阪急百貨店のチョコレート博覧会(大阪梅田)」です。

全国的にはまだまだご存じない方が多いかと思いますので、ここで少しご紹介したいと思います。

 

 

チョコレート博覧会2016の会場案内

 

この「チョコレート博覧会」の素晴らしいところは、他店で一般的に見られるショコラティエの「販売スペース」だけではなく、本格的な「学び」のスペースにかなりの面積を割いていることです。

それは、販売促進のための単なる添え物ではなく、本気でカカオやチョコレートの現状を知ってほしいという気持ちが伝わる貴重なスペースです。

 

百貨店としての採算を度外視したこの企画は、加熱するバレンタイン商戦においてなかなかできるものではないと思います。

 

 

実は、この「チョコレート博覧会」の内容は年々少しずつ進化しているのですが、今年の新しい企画としては、「梅田ギャラリー」のスペースに「カカオワールド」と銘打ったコーナーを作り、ベトナムのマルゥMarouさんをイメージしたカカオ農園のオブジェ(カカオの樹、発酵箱、乾燥台など)が展示されていました。

 

カカオの樹にぶら下げられていたカカオポッドはさすがに模型でしたが、カカオの幹や葉はフレッシュな本物で、「カカオの実って樹の幹からこんな風にぶら下がってるんだ!」と初めて知った人も多かったのではないでしょうか。

写真で見るよりもずっと実感が湧きますよね。

 

発酵箱の上に置いてあったカカオポッドは本物でした。

 

 

また、このカカオコーナーの奥では、世界中から集められた500種類もの「bean to bar タブレット(板チョコ)」が販売されていました。

 

チョコレートソムリエの札谷加奈子さんがチョイスしたこれらのタブレットの中には、日本ではここでしか買えない大変珍しいものもありました。

 

タブレットに関してこれだけの「質」と「量」を揃えている売り場は日本でもここだけですし、ボンボンショコラとはまた違う、「チョコレートそのものの魅力」を存分に感じさせてくれる素晴らしいバレンタイン企画だと私は思います。

 

 

 

また、チョコレート博覧会では1月27日〜2月14日にかけては58講座もの「チョコレートに関するイベント(セミナー)」が催されました。

 

イベントスケジュール

 

 

このイベントには2種類があって、1つは広い吹き抜けの「祝祭広場」大階段前で行われるもの。

主にカカオ生産地の皆さんの貴重なお話などを聞くことができました。

 

 

たとえば、2月13日、14日には、遠くコロンビアから来日したアルアコ族のエルナンさん、カカオ技術師のギジョさん、カカオハンターの小方真弓さんのお話も。

 

 

アルアコ族のエルナンさん(写真中央)は、本当に真っ直ぐな瞳が美しい素敵な青年でした。

コロンビアからパリ経由で遥か遠くの「極東の国」まで、生まれて初めての大旅行でとても不安だったと思うのですが、昼食を食べる暇もないくらい詰め込まれたスケジュールの中でも嫌な顔ひとつせず、質問に訪れるお客様のひとりひとりに丁寧に対応している姿には感動を覚えました。

 

その真摯な姿からは、「アルワコのカカオ豆の素晴らしさをひとりでも多くの日本人に知ってほしい!」という熱い思いが伝わってきました。

 

ちなみに、エルナンさんがかぶっている白い帽子は「ゴロ」という名前で、シエラネバダ山脈に冠る神聖な白い雪を表現しているそうです。

(帽子、衣服、カバンなどは全てアルワコ族の皆さんの手織りなんです)

 

 

 

また、明治からはガーナやブラジルの「カカオ農園」のお話やカカオと健康の話題提供などもありました。

 

 

 

この会場には、明治「お菓子でHAPPY研究所」のジャック所長も出張中。

 

首からかわいい社員証も下げていましたよ。

(所長 ジャックJACKと書かれています) 

 

 

 

そして、もうひとつのセミナー会場は梅田ギャラリーの奥にある小さな「イベントスペース」。

ここでは、シェコラティエやカカオ生産者の皆さんの様々な「ワークショップ」や「テイスティングセミナー」が行われました。

 

土屋シェフの手作りチョコレート教室も大盛況。

 

「チーム・コロンビア」のギジョさんやエルナンさんのセミナーなども

 

 

バレンタイン会場に、このような「学び」のスペースを設けることは、チョコレートの「売り上げ」としては確かに不利になるでしょう。

(ちなみに、バレンタイン期間中に日本一チョコレートを売り上げるのは「名古屋タカシマヤ」なんですって!)

 

でも、売り上げ的には多少不利でも、それを「補って余りある存在意義」がこの「チョコレート博覧会」にはあると私は考えています。

「カカオ」や「チョコレート」の本当の姿を知る! 

こんな地道な啓蒙活動をバレンタイン期間を通じて会場から発信してくれているように感じました。

 

 

 

来年はどんな企画で私たちを驚かせてくれるのでしょう。

阪急百貨店「チョコレート博覧会」がますます素敵に進化することを私は楽しみにしています。

 

 

 

 

チョコレート博覧会会場 阪急百貨店(大阪・梅田)