ベトナム式コーヒー
ベトナム南部の大都市ホーチミンHồ Chí Minh(旧サイゴンSài Gòn)
その中心部を流れるサイゴン川のそばにあるビルの屋上カフェでいただいた「ベトナム式コーヒー」です。
19世紀のフランス統治下でベトナムに導入されたコーヒーが、独自の進化を遂げて個性的な逸品に変身しています。
こんなコーヒーがテーブルに運ばれてきたら、「カップの上にのっているコレはいったい何なんだろう?」と思いますよね。
ベトナム式コーヒーの抽出セット
ベトナム式コーヒーは、まず、このようなカップ状のフィルター(底に細かい穴があいたステンレスまたはアルミ製の容器)の中に深煎りのコーヒーパウダー(粗挽き)を入れ、その上に中ぶた(左上)をのせて、コーヒーカップの上にセットします。
少量のお湯を注いで1〜2分蒸らし、残りのお湯を一気に加えて蓋をし、じっくり濃いコーヒーを抽出します。
実は、このコーヒーカップの底には濃厚なコンデンスミルクが入れてありますので、自動的に甘くてコクのあるベトナム式コーヒーができ上がるというわけです。
上の写真のようにホットのままいただく時は、蓋を外してテーブルの上に置き、その上にフィルターを乗せるとテーブルが汚れません。
一方、熱いコーヒーを氷を入れたグラスに注ぐと、甘くて美味しいアイスコーヒーのでき上がり。
甘いもの好きの私にとってはたまらない美味しさです。
私は、お菓子仲間から「お砂糖15グラム(つまり、コーヒー1杯に砂糖15グラム入れる)」と呼ばれているのですが、このコーヒーにはそれ以上の砂糖が入っているかも。
この強烈な甘さと深い苦味が、ベトナムの蒸し暑い気候に負けないパワーの源になっているのかもしれませんね。
カフェから眺めたサイゴン川沿いの道路
同じ場所が夜になると
現在のホーチミンは実に活気に満ちた街で、道路には大量のバイクがあふれています。
昼だけではなく、夜になってもバイクの波は減るどころか、むしろ益々増えているように見えます。
道路の端にも中央にもバイクが入り乱れていて、信号もほとんどないのにスイスイと事故もなくすり抜けて行きます。
時には、なんと人が歩いている歩道の上にまでバイクがダダダーッと流れ込んできます。慣れない私は正面から突進してくるバイクを避けるだけで精一杯。
横断歩道を渡るなんで、とてもじゃないけどできません。
ベトナムの庶民的なお店は、日本に比べればまだまだ衛生面では問題が多々ありますが、お店の棚の隅から時々大きなネズミが顔をのぞかせても「許す!」と言いたくなるほど、美味しいフォーでした。
ベトナムのカカオ農園
実は、ベトナムのカカオ豆は近年世界的にも注目されています。
国際的なアワードを受賞するカカオ農園や世界的に高評価を受けるチョコレートメーカーも出てきましたし、今や多くの海外資本が優れたカカオ豆を求めてベトナムに進出してきているのです。
また、ベトナムは国としてもカカオ豆を重要な輸出産業として育てたいと考えているようで、カカオの栽培を研究する大学の研究施設では優れた品種の開発が行われていますし、カカオ農園で働く人々に対する教育や啓蒙活動が積極的に行われています。
世界の他の栽培地域とは異なる気候の厳しさや病害虫の問題など、解決しなければならない課題は多々ありますが、ベトナムは今後ますます注目される産地に育っていくのではないかと思います。
カカオ豆の収穫後の「加工工程」にもベトナムらしい特徴がいくつか見られますし、私もいろいろ考えさせられる地域でもあります。
(写真撮影 2014年11月)
「ベンタイン市場」と眺めの良い「ホテル・マジェスティック」