想い出のバーゼル 銅型コレクション

 

ミニチュアの銅型

 

 

この銅製の飾り型コレクションは、一番下の段のもので直径が1cmくらい。とても小さな銅型なのですが、ひとつひとつがとてもよくできています。

 

実は、この飾り型を初めて見たのは尾山台の「オーボンヴュータン」でした。もう25年前のことです。

お店で一目惚れした型をどうしても手に入れたくて、でもお店では質問することができず、自宅に帰ってから河田シェフにお手紙を書かせていただきました。

 

すると何週間かしてマダムから葉書が届き、スイス北部の街バーゼルにあるそのお店の名前を知ることができたのです!

幸運にも、その年の夏に家族でスイスに行く機会があり、10日ほどの旅行の最終日に念願のお店を訪れることができました。

 

 

ところが、このスイス旅行では大変なアクシデントに見舞われました。

その最終行程でインターラーケン(ユングフラウの麓)からバーゼルに列車移動したのですが、その列車移動の途中で旅行用の大きなトランクがなくなってしまったんですね。

当時息子は1歳だったので、おむつや離乳食が消えたのは困りましたし、10日分の記録フィルムが 全て消えたのもショックでした。

(おそらく、トランクはそのまま国境を超えてドイツに行ってしまったのだと思います)

 

幸いパスポートだけは身につけていたので、バーゼルで購入した100個ほどの銅型だけを手に、着の身着のままで飛行機に乗り、当時住んでいた南仏ニースに戻ってきたのでした。

 

 

 [後日談]

その1か月後、突然ニース駅から連絡がありました。「お宅の荷物が駅に着いてるから取りに来い」というのです。

「えええ〜っ!」と駅に駆けつけると、ポツンと待っていたのです「あのトランク」が!

スイスから、いったいどこをどう巡ってニース駅まで来たのでしょう?

ヨーロッパ鉄道を乗り継いできたのでしょうか?

 

本当に、聞けるものなら、トランクからじっくり話を聞いてみたいと思いました。

「少し汚れてるみたいだけど、君はいったいどこを旅してきたの?」